被り物大好き

こんにちは!ばあばです。

小さい頃、クマはとにかくなんでも被っていました。小物入れのカゴや、おもちゃのバケツ、ゴミ箱など。それは2歳位から始まり4歳位まで続きました。


被れるものを被るのは子どもによくある話。でもクマの場合、被って頭から取れなくなり泣きながらとって!と言いに来ることを同じもので何度も繰り返します。
じいじがリビングに寝転んで頭を腕で支えてテレビを見るのですが、クマは必ずその腕の三角の部分をくぐろうとします。
頭を突っ込んで進めなくなるとジタバタして泣くといった具合。あまり何度も繰り返すので、じいじが三角の部分をぎゅっと小さくするのですがそれでも辞めず諦めずくぐっていました。


ある日のこと、どこからかクマの泣き声がします。泣き声を辿っていくと、当時の社宅の裏にあるマンションの塀に挟まっていました。塀の網の部分と石の門の間です。
泣き声にマンションの方々が集まって来ていました。例に漏れず、腰にはバットが!


慌てて駆けつけてなんとか頭を引き抜こうとするのですがどうにも抜けません。どうしてこんな狭い所に頭が入ったのか謎でした。みんなで押したり引いたりしても痛がるばかり。
仕方ないのでレスキューを呼ぼうかと言ってた矢先、ふと、体を頭の方に押し出してみました。


すると、スルリと身体が頭の方に抜けました。頭が入って抜けなかったのではなく、身体だけ通り抜けて外に頭が残っていたのです。
自由になったクマは何やら叫びながらあっという間にどこかへ駆け去ってしまいました。


後には呆然とする、ばあばとマンションの方々が。

平謝りに謝り家に帰りました。


その時クマは頭が通らなければ身体を戻すことは思い至らなかったのか、或いは戻ることがプライドが許さなかったのか、何も考えてなかったのか今となっては深い謎のままです。

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