ついに我が身にも。秘密の質問羞恥プレイ

先日、のっぴきならない事情により昔使用していたApple IDにログインしなければならなくなった。

ここのところずっと使用していないクレジットカードの明細に謎の引き落としが記録されており、詳細は「AppleStore」とだけ。この引き落としに関しての心当たりが全くなく、カード会社に問い合わせてもわからないのでAppleに直接問い合わせることになったのだ。つまらないことで先方の手を煩わせることに若干の心苦しさを覚えるも何に使っているのかわからない引き落としにお金を払い続けるわけにもいかない。

私も夫も若くないのにこの先幼い子供2人を食べさせてゆかなければならないのだ。

コールセンターのお兄さんの声は迷惑なそぶりなど微塵も感じさせない爽やかさで感じが良かった。私は安堵しつつ要件を述べた。

このようなことはよくあるらしく、慣れた口調でサクサクと話を進めるお兄さん。曰く、現在使用しているIDで定期購読などの利用がないのであれば、過去に使用していたIDを調べる必要があるのだそう。せっかくなので両方調べましょうということになり、まずは現在のIDから。

お兄さんの指示通りに設定を操作し、ログインできた時点でスマートフォンに届いたSMSに記載された数字を伝えるとあっさり本人確認が完了。

「こちらのIDでは定期購読のご利用はありません」とのこと。

問題は過去のIDである。パスワードなんだったっけ。

すると突然お兄さん「こちらのIDは秘密の質問でご本人確認を行います」などと言い出した。

そういえば、IDを作成する際にいくつかの質問を選び、その答えを登録するという作業をした記憶がある。パスワードを忘れた時などにこれが必要になるということで、なるだけ推測されにくい、言い換えれば「人様にお聞かせしにくい」回答を設定した。

なにこれ、口頭で確認させられる可能性があったの?

精一杯平静を装うも膝は震えるし変な汗が止まらない。そんな私にお兄さんは容赦無く質問をぶつけてくる

「好きな絵本の題名は?」

「オイスターボーイの憂鬱な死、です」

「どのような表記ですか?」

「表記……オイスターボーイがカタカナで、意味は『牡蠣の少年』ですね、で、憂鬱が漢字……間にひらがなの『な』が入って最後は漢字で『死』……死ぬの『死』ですね。英語でdie

「それでは次の質問です。子どもの頃のニックネームは?」

懸命な説明を流されたことに軽くショックを受ける。

だが問題はそこではない。

子供時代のニックネーム言わされるの!?

あれは小学生の頃。

父の転勤でしばらく某県に住んでいたときのことだ。

よく言えば人情に厚く団結力の固い、悪く言えば閉鎖的なその町で私はがっつり浮いた。

もともと人と打ち解けるのが苦手で、うまく会話ができないため話を途中で打ち切られてしまう私はすぐにつまらないやつだというレッテルを貼られてしまうのだ。そんなこんなでまともな受け答えのできない「異人種」とみなされ、ついたニックネームが

モンゴルチョッピーだった。

モンゴルチョッピー。

正直私にも意味がわからない。異人種だからとて何故モンゴルなのか、チョッピーとはなんなのか。けなされているようには聞こえないけれど、褒められているようにも思えない。

モンゴルチョッピーとしての正しい振る舞いがわからないまま次の転校まで曖昧な笑いを浮かべて過ごしたあの三年間、たいへん生きづらかった。

私はいたたまれない気持ちでいっぱいになった。

「モン……

言えない。

「すみません、覚えていません」

「覚えていらっしゃらないですか?ぼんやりとでも?」

追い討ちをかけるお兄さん。

お兄さんは答えを知っている。私の回答がモンゴルチョッピーだと知っていながら涼しい声を出している。

さらにはおそらく先ほど私がうっかり漏らした「モン」も聞こえているはずだ。

お兄さんとはこの電話一度限りの関係だ。

この先関わることはないのだから、さっさと言ってしまえばいいのだ。モンゴルチョッピーですと。

だけど何故だろう、どうしても……どうしても名乗りたくない。

「申し訳ありません、本当に覚えていないんです。片鱗すら、完全に」

震え声で告げると意外にもあっさり別の工程で本人確認が終わった。

私の葛藤は一体なんだったのか。心に引っかき傷が残っただけではないか。

必要になる時が訪れるにしても、入力するだけだろうとタカをくくっていた秘密の質問、速攻で変更したのは言うまでもないが、こうなる可能性があることくらい最初に教えてくれたっていいのにと少しだけAppleを呪った。

ちなみに、無事ログインできた過去のIDで使用していた某サービスのプレミアムプランが発見され

無事に引き落としの正体は判明した。

そのサービス自体を解約し、カード情報も消去していたため引き落としも解消になっているだろうと思い込んでいたのであるが、端末の設定から定期購読を解約しなければいつまでも引き落としだけが残るのだそうだ。

たかだか数百円でも、長いこと引き落としが続けばそれなりの額になる。

ほろ苦い小学校時代を思い出すくらいで済むなら

安いものだったと思う。

“ついに我が身にも。秘密の質問羞恥プレイ” への 3 件のフィードバック

  1. Appleの人のドSっぷりwww
    それにしてもモンゴルチョッピーの由来が謎すぎる。知りたい。

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